dancyu
「ダンチュウ」
最新「寿司ネタ」カレンダーの解説(旨さの旬と、旬の変動・移行表の解説)
10年前頃と平成18年を中心に、この4・5年前後の旨さの旬、旬の変動・移行の比較

1)コハダ(シンコ・コハダ・ナカズミ・コノシロ)

「シンコ」
静岡県舞阪(浜名湖)

…海水温の常態的な上昇とバブル経済の頃に始まった異状なシンコブームに対応し、漁獲の網目を小さくしたために、極小サイズのシンコが1ヶ月強早く入荷するようになった。シンコの状態での乱獲がコハダの漁獲量激減の大きな原因となっている。
※ 平成18年の舞阪産は例外的に水温が低かった為に初漁が遅れ、量も少なく、k単価80,000円の異常な値を付けることになった。

佐賀県有明・熊本県天草
…海水温の常態的な上昇とバブル経済の頃に始まった異状なシンコブームに対応し、漁獲の網目を小さくしたために、サイズの極小化と共に、1ヶ月強入荷が早くなった。シンコの状態での乱獲が漁獲量減少の大きな原因となっている。
※ 漁獲量減少の原因…1.乱獲。2.水温の上昇。3.諫早湾干拓。4.ダムの増加。5.海苔生産に使用される薬品の拡散。6.砂利採集のための海底浚渫工事による藻場の破壊。

石川県七尾
…産卵が7月から8月と他の産地よりも遅いために、シンコの時期が9月中旬から11月上旬となり、すでに値が暴落している時期のために、あえて漁をせず出荷なし。

「コハダ」
静岡県舞阪

…コハダ漁は年間を通してほとんどしない。シンコの時期には大量に漁獲するのだが、コハダ・ナカズミ・コノシロのサイズになると、安値過ぎると漁をせず、天然クルマエビ等高値の魚の漁に移ってしまう。

佐賀県有明海・熊本県天草
…近年の海水温の上昇は秋口からのコハダの成長・身質の充実・脂の乗りを早くさせ、晩秋の水温低下の遅れは旨さの旬を延長させている。5月頃の産卵前、3月〜4下旬頃も脂が乗り旨さの旬となる。乱獲・環境破壊等による漁獲量の減少が目立ってきている。4年生で、コノシロ・ナカズミ・シンコの順番で産卵する。

石川県七尾
…コハダ漁は他産地との兼ね合いの中で行なわれ、安値の時はやらない。年によっては全く漁をしないこともある。3月から6月下旬頃までが旨さの旬となる。
    
2)クルマエビ

※天然クルマエビ
 全国的に漁獲量は激減し、クルマエビ全入荷量の数パーセントとなっている。

大分県豊前・国東・別府湾・豊後各地
…最近の海水温の上昇により、初冬まで量は極少だが、継続して獲られる。クルマエビは水温が下がる冬場に甘み・旨みが増し旨さの旬となるが、深場に移行するため漁獲量は激減する。産卵後を除き旨さが大きく変化しないため、漁獲量が最大になる夏場の漁獲の旬の時期も旨さの旬と共に楽しむ事になる。

※養殖クルマエビ
 クルマエビのほぼ全てが養殖ものになっている。各地によって生産量、出荷月日に相違がある。

大分県・宮崎県・佐賀県・長崎県各地

…中秋から春先までに出荷量が多く、夏場は少ない。12月から2月頃を旨さの旬としている。

3)マダイ

 瀬戸内の明石・鳴門、神奈川県佐島・鴨居、千葉県大原・外川等の釣ものの名産地は多いが、全ての産地で漁獲量の減少と品質の低下、サイズの小型化、旬のズレが発生している。

瀬戸内各地・神奈川・千葉各地
…名産地のマダイは地付きのものが多く、産卵後の6月・7月を除いて全ての時期に旨いと言われるが、寒ダイと呼称される冬場を最高の旬とする。4月のノッコミの時期はサクラダイと呼ばれ、婚姻色で美しい姿を見せるが、旨さの旬としては少し過ぎてしまっている。

4)ヒラメ

神奈川県各地(佐島・松輪各地)、千葉県各地(外川・大原各地)、
            常磐各地(茨城県波崎、福島県相馬原釜各地)

…全ての産地で漁獲量の減少と品質の低下、サイズの小型化、旬のズレが発生している。最良産地の最高漁場が消失し、品質の低下となっている。寒ヒラメと呼称され、11月頃から良化が始まり、12月には旬に入っていたのだが、最近では本格的に良化するのは1月中旬頃からで、3月の下旬頃まで選別の中で使える。
※青森産の漁獲量の激減と品質の低下は目を覆うほどの状態となっている。

5)マコガレイ

千葉県外房各地、常磐各地
…最高品の漁場として評価されている。全ての産地で漁獲量の減少と、サイズの小型化、旬のズレが発生している。最良産地の最高漁場での漁獲が少なくなり、品質の低下ももたらしている。

神奈川県三浦半島各地、千葉県内湾
…初夏の海水温上昇の早期化と秋期での水温低下の遅延により、旬が長くなってきている。2キログラム以上が激減し、豊満な魚体のものが少なくなった。

6)サバ

神奈川県松輪・他各地、千葉県富津・他各地
…東京湾、相模湾では、15年前頃からの大不漁が次第に緩和し、平成17年ごろより秋サバは質量ともにかなりの漁獲となってきている。

豊予水道(大分県関サバ・愛媛県岬(はな)サバ)
…豊予水道のサバは秋サバではなく寒サバで、1月に入ってから良化、2月・3月が旨さの旬と漁獲の最盛期となる。水温の上昇と乱獲による漁獲量の激減は、魚体の小型化・品質の低下をもたらしている。

7)黄アジ

 内湾の浅場に生息するマアジで、旨みが強く高級魚とされ、マアジの別種、クロアジとは区別される。

兵庫県南淡路島沼島
…出荷手当て・流通にも優れ、理想的な環境と安定した漁獲量により、黄アジの最後の宝庫と注目されてきた。7年前頃から海水温の上昇・ダム建設・塩素系処理下水道、乱獲等による漁獲量の漸減の中で、純粋種が減り、クロアジとの混血種が増えてきている。旬の始まりが遅くなり、晩秋の水温低下の遅延ととに、終わりも遅くなっている。

東京湾内湾各地、相模湾各地
…昭和40年代から徐々にクロアジとの混血種に姿を変えてゆき、純粋種はあまりにも極少で、もうすでに漁師の漁獲の対象とはならなくなっている。遊漁船が少し漁獲しているらしい。

8)海苔

千葉県船橋
…三番瀬を持つ内湾を代表する漁協だが、5年前頃から水温の上昇・病害の多発により、11月・12月の漁獲はほぼ全滅。生産量は激減し、品質も低下しているようだ。

佐賀県有明海
…最高級品の評価を受ける産地だが、3年間ほど量・品質共に不漁だったが、今期の12月は量・質共に優れ、期待されている。

9)アワビ

クロアワビ・マダカアワビ・メガイアワビ

千葉県外房各地
…最高品質と評価される。漁期は昔とほとんど変化しない。海水温の上昇の中で旬が移行しているが、梅雨明けにならないと本格的な旨さの旬とならない。乱獲と環境破壊等により激減。近年は高級中国料理の干しアワビの加工需要が増大し、暴騰している。

神奈川県、静岡県、山陰各地、長崎県各地

…10月から12月にかけてを禁漁期とするだけで、一年中漁獲される。品質的には2等・3等級品に評価されてしまう事が多い。

エゾアワビ
…三陸の宮城県・岩手県各地では、9月から10月の産卵期の後の11月から1月を漁期としている。

10)ウニ

※寒流系のウニ
道南、道東

…海水温の上昇と環境破壊で、道南は激減、品質も低下させている。道東も同じような状況になりつつある。北方領土産の優れたものも入荷しているが、価格が高騰傾向にある。旬の移行が見られる。

※暖流系のウニ
松前・積丹・増毛・利尻・礼文

…日本海側には対馬暖流が流れ、夏場を旬とする。寒流系よりも甘みが少し薄く、漁獲量も少ない。

11)アカガイ

宮城県ユリアゲ
…江戸前産全滅後の最高品であったが、15年前頃から始まった冬場に卵持ちの混入、漁獲量の激減、旬の変動等は、品質の劣化に結びつき、江戸前産の二の舞となりつつあるようだ。

12)サヨリ

東京湾、仙台湾石巻・牡鹿
…初漁は2年生のカンヌキから始まることが多い。旨さの旬は春先までで、産卵時期の漁獲の旬と混同され易い。今期、東京湾の海水温が晩秋になっても下がらず、大不漁。12月の漁を中止した。

13)ミル貝

千葉県富津
…年度により好不漁が著しいが、漁獲量は年々減少。抱卵の頃が旨い。平成18年の富津産は、2月から12月まで延々と抱卵の状態が続いた。海水温の上昇か環境ホルモンの影響か。4年、5年後に大不漁となるだろう。

14)シャコ

千葉県小柴
…小柴産のシャコは、最高品と評価される。抱卵の時期を旨さの旬とするが、晩秋の脱皮直前の子無しのシャコは甘みが強く、さらに旨い。8年前頃からの大激減は、ついに平成17年にいたって、漁獲の最盛期の夏場に全滅に近い状態となり、9月より操業中止。19年1月現在継続中。全国的にも環境破壊と乱獲により大不漁中。

15)アナゴ

東京湾内湾 羽田・小柴・富津
…江戸前産は産卵後の秋口から中秋頃を除き、選別さえすれば、すぐに身質を戻し旨くなってゆく。平成18年、羽田産・富津産はほぼ全滅。小柴産も大激減。乱獲と環境破壊が最大原因。存続の危機の様相を呈している。

16)イクラ

北海道道東各地
…9月に解禁になるが、卵が最高品に成熟するのは10月中旬から11月中旬。今期は海水温の上昇の影響で、鮭の漁獲量が減少し、卵も影響を受けて品質が少し落ちている。

17)スミイカ

千葉県富津
…海水温の異常な上昇等による5年程前からの漁獲量の激減と品質の劣化は決定的で、平成18年の10月・11月の新イカはほぼ全滅。12月下旬からのスミイカサイズも漁獲は不定期、漁獲量も激減、身肉も痩せて劣化したものが多く大不漁の状態となっている。

鹿児島県出水
…最大の漁獲量と出荷手当ての良さも相まっての最高品質と、最も信頼できる産地となっている。内海のために水温の変化が少なく、産卵が長く続き、新イカサイズも選別すれば12月までと漁期が長い。平成18年は7月中旬と1ヶ月も早く新イカ漁が始まり、19年の2月に入っても新イカサイズが混じる異常さを見せている。

18)ホンマグロ

※日本海側のホンマグロの生態
 台湾近辺での産卵後の北上の群れは、5月から7月にかけ、境港・佐渡・舞鶴・宮津の巻き網・定置網に入る。7月には早くも津軽海峡に入り、松前・竜飛・三厩・大間・戸井のはえ縄漁・一本釣漁の対象となってゆく。
 1月中旬、水温の低下によるスルメイカの南下に従い、最近、新たに開拓された見島・壱岐の漁場にまで瞬く間に南下し、2月末まで旨さの旬を持続させることになる。
 平成15年と18年を比較すると、各産地での漁場・漁期・漁獲量の変動は、人為的要因(漁場の拡大と新規開拓、最新鋭設備機器の導入と技術の進歩、増船)によるものが大きく、海水温の上昇などの地球環境の変化の影響が見えにくい。乱獲による漁獲量の減少化が目立っているが、見島・壱岐の新規に開拓された漁場の出現によって、旨さの旬が延長した。(平成9年に開拓された山口県見島、平成15年に開拓された長崎県壱岐の新たな漁場の出現によって、津軽海峡でのマグロの一斉の南下による、1月中旬に終わっていた旨さの旬が2月末まで持続されることになった)

※太平洋側のホンマグロの生態
 産卵のために南下してきた群れが、油津・日南・紀州勝浦近辺で漁獲される。さらに台湾近辺での産卵後の群れが北上し、同地域から房州勝浦・銚子に現れる。さらに北上して尻労・宮古・噴火湾の定置網、巻き網、はえ縄漁で漁獲される。平成15年と18年を比較すると、各産地での漁場・漁期(1から2週間のずれ)・漁獲量の変動は、人為的要因(漁場の拡大と新規開拓、最新鋭設備機器の導入と技術の進歩、増船)と漁獲量の減少によるものと思われ、海水温の上昇等の地球環境の変化の影響が見えにくい。乱獲による漁獲量の減少化が目立っている。苫小牧沖の新たな漁場の開拓による夏場のホンマグロの出現によって、北海道での漁期の早まりを見せている。

(太字部分、まぐろ石宮 野尻氏の分析より)

平成19年3月11日

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